MANGA EP112ハコブくん2026/10/3
借りた体で、そばにいる(MANGA EP112 表紙) 借りた体で、そばにいる(MANGA EP112 本編)

借りた体で、そばにいる

■ 隔離病室では、看護師の滞在は防護具に縛られる 隔離病室に入るたび、看護師はガウンと手袋とマスクを着ける。用が済めば部屋を出るしかない。患者のそばに長くいたくても、防護具がそれを許さない。森田さんは、窓の外を見てひとりで過ごしている。感染対策は正しい。だが、その正しさが患者から会話の時間を奪っている。

■ 遠隔操作なら、感染のリスクと存在が切り離せる ピカリくんは防護具なしで部屋に入り、ベッドの横に座る。操縦者は自宅のソファにいる。体はここにないから、うつる心配はない。感染のリスクと、そばにいることを切り離せる。これがテレプレゼンス、遠隔による存在の価値だ。森田さんは、入院してから初めて人と長く話したと言う。

■ 結論:ロボットは人の近づき方そのものを変える 部屋を出たピカリくんは、扉の前で消毒の光を浴びる。看護師が防護具で払っていた代償を、機体が肩代わりしている。人は家にいたまま、患者のそばで時間を使える。ロボットの価値は、作業の代行だけではない。人には取れなかった近さを、取り戻させることにもある。 生身で入れない部屋ほど、借りた体がいちばん長くそばにいられる。