目の形が知らせた異変
■ いないはずの体が歩いていた
深夜、ロボのアバターさんが席を外すと、ピカリくんの目は2本の横線に変わる。人が操縦していない、という合図だ。ところが記録を書いていた大城さんが顔を上げると、目が横線のままのピカリくんが薬剤保管庫の方へ歩いていた。目は「誰もいない」と示し、体は動いている。大城さんはその食い違いに気づき、「…目が線なのに、動いてる?」とつぶやいた。
■ 乗っ取りは、操縦席からは見えにくい
遠隔操作のロボットは、ネットワークを通じて外から動かす。そのため、操縦者ではない誰かが勝手に接続して動かす、いわゆる乗っ取りが起こりうる。席を外した操縦者には、その間の動きは見えない。異常に早く気づけるのは、ロボットのそばにいる人だ。ただしそれは、そばの人が「いま誰が動かしているか」を見分けられる場合に限られる。
■ 結論:状態の表示は、周りの人のためにも出す
大城さんの内線で通信が切られ、ピカリくんはその場に座り込んだ。白石さんは「離席中に、外から誰かが接続していました」と確かめる。決め手は、目が線のまま歩いていたことだった。目の形のような状態の表示は、操作者のためだけのものではない。周りの人に見える形で示しておけば、表示と動きの食い違いから、人が異常に気づける。
見えている合図は、病棟じゅうの人を見張りの目に変える。