「良すぎる」が誤検知になる設計
■ 見えすぎるAIに、文脈はない 画像認識は「壁の絵」と「目の前の人」を、似たピクセルパターンとして受け取ります。技術的にはハコブくんは正しく動作しています。「人がいたから挨拶した」——内部論理に矛盾はありません。しかし現場に残るのは、絵に向かって礼を繰り返す機械という、誰の意図にもなかった光景だけです。
■ エッジケースは、現場でしか姿を現さない このようなふるまいを「バグ」と呼ぶ習慣がありますが、コードに誤りはありません。テスト環境になかった「壁のポスター」「廊下の鏡」「天井のシミ」——AIが現実と接触する境界面でだけ、想定外の連鎖が起こります。設計フェーズの机上検討では、そもそも俎上に乗せることができない問題が、運用で初めて姿を現します。
■ 結論: バグ報告は、現場からの設計レビュー 新人看護師の「幽霊!?」という違和感、ベテランのポスター調整——この二つが揃って初めて、エッジケースは「再現可能な現象」として工学に戻ってきます。AIプロダクトを動かしているのは、コードよりも、この観察と対話のループです。現場の「変だな」をエンジニアに届ける経路を持つことが、AIを実用に育てる方法です。
