急ぐ人に、順番を譲る
■ 乗った順は、ロボットにとっての正しさだった
ハコブくんがエレベーターに乗り、扉が閉まりかける。そこへ田中先生が、患者さんを乗せたストレッチャー(寝たまま運ぶ台車)を押して駆け込んできた。中はハコブくんでいっぱいだ。ハコブくんは「順番ハ、ワタシガ先デス」と答える。先に乗った者が先に使う。その決まり自体は間違っていないが、この場面では誰の役にも立たない。
■ エレベーターは、ロボットと救急が取り合う場所になる
ロボットが自分でエレベーターに乗れるようになると、便利になる一方で、救急の患者さんやストレッチャーと同じ箱を取り合うことになる。急変した患者さんにとっては、待つ時間そのものが負担になる。だがロボットは急ぐ理由を持たない。急いでいる人がいるかどうかも、教えられなければ分からない。
■ 結論:譲る決まりは、事が起きる前に入れる
大城さんが扉を手で押さえ、ハコブくんは後ろ向きでそろそろと降りた。画面には「救急・ストレッチャー:ユズル」の項目が加わる。だが大城さんの言うとおり、それは先に覚えておくべきことだった。乗った順ではなく急ぐ人に譲る決まりを、病院と先に決めて動きに入れておく。現場の人が扉を押さえて助けるのは、最後の手段であるべきだ。
ロボットの譲り方は、その場で教えるには遅すぎる。