速度は、安心の設計である
■ 同じ動作でも、速さが変われば意味が変わる
ツカムくんが腕を素早く振ると、ハコブくんはびくりと後ずさります。速度を落として同じ軌道をなぞると、今度は「なんか、安心する」と漏らします。動いた場所も、届いた距離も同じです。変わったのは速さだけ。それだけで、受け手の身体は警戒から弛緩へ切り替わります。
■ 予測できることが、恐怖を消している
人が機械を怖がるのは、次にどこへ動くか読めないからです。速度が遅ければ、軌道の途中で先を予測でき、必要なら避けられる余地が残る。この余地が心理的安全性を支えます。速く正確に動く機械より、遅くて読める機械のほうが、そばに立つ人間にとっては安全なのです。
■ 結論:モーションはUIの一部として設計される
動作速度は性能指標として語られがちですが、実際には対人インターフェースです。加速度、停止の仕方、動き出す前の予備動作。それらは仕様書の数値であると同時に、相手に与える印象そのものでもあります。速さを削ることは、機能を削ることではありません。
動き方は、その機械が誰なのかを語っている。
