「完璧な公平」が全員を止める
■ 「機能の正しさ」が招く機能不全 複数の要求を同時に受けたとき、ロボットの素直な発想は「公平に裁定する」ことです。第41話で大城さんと寺島さんがほぼ同時に呼んだ瞬間、ハコブくんは廊下の中央で停止し「優先順位算出中…」と表示しました。あらゆる変数を比較して最適解を出す姿勢はアルゴリズムとして誠実ですが、その誠実さが二人を待たせ続けます。
■ 「中間地点」という最悪の着地 算出が終わらないハコブくんは「公平モード:両者ノ中間ニテ待機シマス」と表示し、真ん中で止まりました。数学的には完璧な公平でも、現場では誰の要求も満たさない最悪の結果です。HRIには、調停コストが要求充足の価値を上回る瞬間があります。全員に等しく不利益を配ることは、公平でも有用ではありません。
■ 結論:単純なルールが持つ速度 「『早い者勝ち』でいいわよ!」とハモった一言が、この話の答えです。FIFO(先入れ先出し)は厳密な公平性を犠牲にする代わりに、即座に決着をつけます。設計者の仕事は完璧な調停ロジックを書くことではなく、「いつ調停を諦めるか」の線引きを設計することなのかもしれません。
