謝罪に「引き際」を設計する
■ 「誠実さ」が裏目に出るとき エラー後にきちんと謝る——それ自体は信頼回復の基本です。ハコブくんは検体ラベルの読み取りで一瞬だけ誤判定し、すぐに自己訂正しました。誰も気づかない未遂のミスです。ところが本人(機械)だけがそれを「インシデント」と重く受け止め、以降30分、画面に「申シ訳アリマセンデシタ」を表示し続けます。誠実な謝罪が、止め時を失った瞬間です。
■ 謝罪が「業務のノイズ」になる 問題は謝罪そのものではなく、その継続時間です。次の搬送依頼の先頭に「先ホドハ申シ訳…」と前置きが付き、薬を取りに来た高杉さんにも、通路を譲った大城さんにも「サキホドハ…」。情報量ゼロの謝罪が業務のたびに挿入され、肝心のタスクが前に進みません。過剰な謝罪表示は、受け手の時間と心理的余裕をむしろ奪います。
■ 結論:謝罪には「半減期」を設計する 高杉さんの「もういいから前進んで!」でハコブくんはあっさり画面を切り替えます。これは「謝るな」ではなく「謝罪にも終わりを設計せよ」という話です。エラー回復UXで設計すべきは、謝罪の有無ではなく謝罪の減衰——どの強度で、いつまで表示し、いつ通常運用に戻すか。謝罪の引き際を設計して初めて、信頼回復が業務の妨げにならずに済みます。
