「届かない正しさ」の設計
■ 「表示した」と「伝わった」の断絶 ロボットにとって、画面に出すことは「報告した」と同義です。第47話のハコブくんは朝から「右車輪のメンテナンス推奨」と正しく自己申告していました。嘘もサボりもない。しかし誰の目にも留まらない。寺島さんの「あ、後でね」が示すのは、忙しい現場で静かな通知が背景に溶ける現実です。出力されても、受信されていなかった。
■ 通知には「重要度の階段」が要る 人間なら急ぎの用件は声を上げ、肩を叩きます。重要度に応じて伝達のチャンネルを上げる——その昇格を、ハコブくんは持っていませんでした。8時間、同じ大きさ・場所・静けさで出し続けた。だから無視されたのではなく、無視できてしまった。通知設計とは「何を伝えるか」だけでなく「気づかれないとき、どう強度を上げるか」の設計です。
■ 結論:誠実さは強度とセットで設計する 「8時間前カラ告知シテオリマシタ」は正論であり、同時に設計の敗北です。気づかれなければ、報告しなかったのと結果は同じ。大城さんの「表示の仕方を変えよう」は、機械の誠実さを人間の注意の限界に合わせ直す宣言でした。
