「手が出せない」を前提に設計する
■ 「あれ」を一発で当てない勇気 「あれ取って、あれ!」
滅菌野の医師は、指示語しか発せません。多くのシステムは文脈から最有力候補を1つ決め打ちして渡そうとします。しかしハコブくんは決め打ちせず、「候補:ガーゼ/鑷子/消毒液/メス」と並べて見せました。曖昧な参照は、当てにいくほど外します。並べて待つことが、最短の正解への道です。
■ 手が塞がった先のマルチモーダル
画面に候補が出ても、医師の両手は滅菌野でふさがり、タッチできません。残された入力は声・顎の向き・頷きだけ。ハコブくんは視線追跡で「ガーゼ デスカ?」と絞り、頷きをYESとして受け取りました。「指でタップ」を前提にしたUIは、手が使えない瞬間に崩壊します。入力チャネルは、奪われてから設計するのでは遅いのです。
■ 結論
約は設計を研ぐ 処置を終えた医師は「顎方向+頷きを確認動作として登録」を頼みました。滅菌野はUIにとって極端な制約条件です。けれど手が使えない前提から逆算した設計は、手が使える場面でもよく効きます。最も厳しい現場が、最も普遍的な答えを連れてくる。制約は設計を縛るのではなく、研ぎ澄ますのです。
