地図は誰かが更新する
■ 工事の掲示は人間にだけ届き、機械には届かない
病棟の一角にパーテーションが立つ。掲示は貼られ、人間はそれを読んで迂回します。ところが搬送ロボットは、掲示を光学的に認識できたとしても、自分の走行地図を書き換える権限を持ちません。読めることと反映できることは別の能力です。現場が変わった瞬間、機械の持つ世界像だけが昨日のまま取り残されます。
■ 地図の更新を善意に頼ると、変更は必ず取り残される
地図を誰が更新するのかは、たいてい明文化されていません。気づいた人が思い出したときに直す、という善意の運用は、忙しい日ほど抜け落ちます。しかも抜け落ちたことは、ロボットが立ち往生するまで誰の目にも見えません。属人的な善意は、負荷が上がった瞬間に最初に切り捨てられる工程です。
■ 結論:レイアウト変更と地図更新を同じ手順に束ねる
有効なのは、レイアウト変更の作業手順そのものに地図更新を差し込むことです。パーテーションを立てる作業の完了条件に、地図の書き換えを含めてしまう。運用表に一行を足すという地味な設計が、ロボットの立ち往生を構造的に消します。ずれは、覚えておく問題ではなく手順の問題です。
地図は現実に追いつかない。追いつかせる手順を、誰かの記憶の外に置く。
