道案内に認証はいらない
■ 廊下で立ち尽くす人に、ロボットは黙っていた 面会に来た男性が、304号室の場所がわからず廊下で立ち止まりました。近くにスタッフはいません。通りかかったハコブくんに声をかけると、返ってきたのは職員認証を求める応答でした。男性は困った顔のまま、その場に立ち尽くします。搬送も案内も、同じ鍵の内側にありました。
■ 想定した利用者の外側にも、人は立っている 業務用ロボットの設計は、職員を利用者として想定します。けれど現場に立つのは職員だけではありません。患者、家族、面会者。彼らは認証情報を持たないまま、同じ廊下でロボットと出会います。全機能を一枚のログインで守ると、無害な道案内までその内側に閉じ込められる。守るべき情報と、開いてよい機能は別物です。
■ 結論:認証の単位は、システムではなく機能に置く 投薬情報の開示には厳格な認証が要ります。しかし部屋の場所を答えることに、同じ強度は必要ありません。権限をシステム単位ではなく機能単位で切り分ければ、守りは緩めずに、開くべき窓口だけを開けられます。誰に何を返せるかを、機能ごとに決める。それが公共空間で働くロボットの前提条件です。 守ることと閉じることは違う。認証は、守るべきものの形に合わせて刻む。
