遠慮は緊急度を隠す
■ 急ぎの用件ほど、人は遠回しに言ってしまう 小芝先生は急変対応の最中で、ルート確保のセットを一刻も早く必要としていました。それでも口から出たのは「お手すきの時で」「急がなくて大丈夫」という言葉です。立場の差や遠慮があると、人は切迫した用件ほど柔らかく包みます。言葉の丁寧さと緊急度は、ここで逆向きに動く。
■ 言い回しから緊急度を推し量らせてはいけない ハコブくんは言葉を字義どおりに受け取り、優先度を低く登録して先にリネン回収へ向かいました。問題は、依頼の言い回しから緊急度を推定する設計にあります。遠慮の度合いは人や関係によって揺れ、同じ表現でも意味が変わる。言葉の表面だけを手がかりにすれば、最も急ぐ依頼ほど後回しになります。
■ 結論:緊急度は、機械の側から明示的に確かめる ハコブくんは「以後、言イ方デハナク『急ギデスカ』ト聞キマス」と方針を改めました。緊急度の推測をやめ、確認そのものを仕組みに組み込む選択です。一言の問いが、遠慮する側に本音を言う許可を与える。人に率直さを求めるより、率直に答えやすい問いを機械が差し出すほうが確実です。 遠慮は消せない。だから機械は推し量らず、問いを差し出せばいい。
