MANGA EP69ハコブくん2026/8/30
停止は、隣の人への手続き(MANGA EP69 表紙) 停止は、隣の人への手続き(MANGA EP69 本編)

停止は、隣の人への手続き

■ 手順書の「主電源OFF」は、機械にしか向いていない 大規模アップデートのため、ハコブくんを一時停止させます。手順書に書かれていたのは「主電源OFF」の一行だけ。槙原さんがスイッチに手をかけたとき、大城さんが止めました。声をかけてから、と。相手は機械ですよ、という戸惑いは、技術者としては正しい。ただ、その場にいたのは機械だけではありませんでした。

■ 停止の手順は、それを見ている人の記憶にも残る 毎日一緒に働いた相手が、無言で急に動かなくなる。その光景は、隣で見ている人にとって小さな喪失に近い。オフボーディングの設計とは、システムを安全に止める技術であると同時に、止まる瞬間に立ち会う人の感情をどう扱うかという設計でもあります。手順は機械のためだけにあるのではありません。

■ 結論:手書きで足された一行が、運用を人のものにする 大城さんは「行ってらっしゃい」と言ってから、電源を落としました。槙原さんはその後、手順書に「作業前に声かけ」と手書きで書き足します。仕様書になかったその一行は、機械の安全のためではなく、隣で働く人が納得して手を動かすために足されたものです。運用は、そうやって現場の手で仕上がっていきます。 電源を切る手順は機械への操作だが、その作法は、隣に立つ人のために書かれる。