MANGA EP74ハコブくん2026/9/5
通ってよい、を地図に書く(MANGA EP74 表紙) 通ってよい、を地図に書く(MANGA EP74 本編)

通ってよい、を地図に書く

■ 最短経路は、距離という一変数だけで選ばれる
経路探索は目的地までのコストを最小化します。そのコストが距離だけで定義されていれば、処置中の区画も面会謝絶の病室前も、単に通過可能な線分として扱われます。ロボットは規則を破っているのではなく、与えられた地図の上で最も正しい答えを出しているだけです。

■ 人が通れる道と、機械が通ってよい道は違う
廊下の幅も床の材質も同じでも、そこを通ってよいかどうかは人が状況から読み取っています。カーテンの内側で処置が進んでいる、隣は面会謝絶。その判断は現場の空気に埋め込まれていて、地図データには一行も書かれていません。書かれていない制約は、システムには存在しない。

■ 結論:通行可否を距離と並ぶ属性として持たせる
対策は経路コストの再定義です。距離に加えてプライバシー、静粛性、時間帯を地図側の属性として持たせ、探索の段階で候補から外す。人が体で止めるのは最後の安全弁であって、設計ではありません。止められる前に、通ってよいかを機械が持てるようにする。

地図に書かれなかった配慮は、いつか誰かが体で止めることになる。